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国政進出を狙う地域政党・大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)への関心の高まりから、東京駐在の各国大使・公使らが、維新幹事長で「大阪外交」を担う松井一郎大阪府知事を相次いで訪問している。
就任3か月半ほどで6か国。大阪でのビジネスチャンスを模索しつつ、次期衆院選で「台風の目」になりうる維新と関係を構築したいとの思惑が見え隠れする。
■ハイペース
16日、府庁本館応接室を日本駐在のベトナム外交首脳が訪ねた。フン駐日大使が松井知事に話しかけた。「関西の企業がベトナムに進出していただけるよう、ベトナム政府が優遇政策を与えると確信している」 松井知事は身を乗り出して、「(有望市場の)ベトナムに興味を持つ大阪の企業と共に訪問したい」と応じた。会談後、フン大使は「可能なら(次は)橋下市長にもお会いしたい」と述べた。同席した外交関係者は、「各国大使が集まると『大阪で何が起きているんだ』という話題で持ちきりだ」と話した。
橋下市長が「自治体外交は府に一本化」とした方針に基づき、松井知事は昨年11月末の就任以来、豪、伊、ブラジル、米、シンガポール、ベトナムの大使・公使(臨時含む)の訪問を受けた。歴代知事への訪問は年に10人程度だったのに比べると、かなりのペースだ。
アメリカのリネハン駐大阪総領事は、カート・トン首席公使の訪問に先立ち、「大阪は興味深い時期を迎えている。維新幹事長の知事に会うべきだ」と、トン氏に意見具申したと打ち明ける。3月8日に来たガウボン駐日ブラジル大使も「今の日本の政治状況において松井知事と橋下市長の重要性は十分認識している」。
英国も2月初旬、東京の大使館から政治、経済の担当者らを大阪に派遣、維新の影響力について、財界などの聞き取り調査を行ったという。
■すべて断り
相次ぐ訪問は、「アジアで勝ち抜く成長戦略」を掲げる維新にも好都合だ。14日にシンガポールの国務相や臨時代理大使が来た際は、水が乏しい同国の事情と大阪市の水ビジネスが話題になり、松井知事が「橋下市長がいつでもチームを組んでうかがいます」と売り込んだ。
「真の狙いは橋下市長とのパイプ作り」との各国の本音も透けて見える。昨年12月の就任以降、橋下市長に会談の申し込みをした大使・公使は松井知事を上回る10か国。
「大阪の顔は知事だ」として、それらをすべて断った橋下市長は14日、報道陣にこう語った。
「府庁と市役所が力を合わせれば、海外各国の代表ともお会いできるのが大阪の強みだ」
▽読売新聞
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120317-OYO1T00498.htm?from=main4
「大阪維新の会と共闘を図る石原慎太郎氏の周辺でも『相当な切れ者がいるらしい』という声が出ている。国政進出の要として期待されているようです」(全国紙政治部記者)
年金制度のリセット、参議院廃止、首相公選など、大阪維新の会がまとめた船中八策には、刺激的な政策が並んだ。その起草者であり、来月開講する維新政治塾の運営をも担う男。
それが、元・自民党府議団幹事長で維新の会政調会長、大阪府議会議長の浅田均氏である。'50年生まれの61歳。京都大学哲学科からスタンフォード大学大学院へ進み、NHK局員を経てOECD(経済協力開発機構)という華々しい経歴は伊達ではないようだ。
維新の会所属の府議会議員・森和臣氏は、彼の活躍ぶりをこう語る。「発信力の橋下さん、野性的な行動力の松井さん、そして頭脳の浅田さん、この3人で維新は動いてる。浅田さんが東京で評価されてるのは、彼が各党をまわり、先々で維新の会の方針を的確に説明しているからでしょう」
政策を語らせれば理路整然。素人が多い維新の会の中では、見た目も政治家らしい落ち着きがある。いきおい、永田町の玄人たちには受けがいい。「浅田さんのおかげで、維新は橋下だけじゃないと分かってもらえた」(森氏)
だが実は、父の地盤を引き継いだ二世府議でもある。そのせいか、「圧倒的に頭はいいが、指導力に欠ける」と評する声も上がっている。
「空気が読めへんというか、パーティでわざわざ英語やフランス語でスピーチしたりするんですよ。自意識過剰の学者タイプで、政治家じゃない。あのくらいの学歴なら、国政レベルにはゴロゴロおるくせに」(維新の会府議)
豊富な政策知識を活かし、とりわけ社会保障政策に関しては橋下氏から絶大な信頼を勝ちえているという浅田氏だが、別のある府議は「これから府議団の中で浅田ばかりが橋下の寵愛を受けるようなことになれば、党内の火種になりかねない」と牽制する。
橋下・松井の陰でノーマークだったが、徐々に頭角を現し始めた第三の男。本当に橋下氏が国政に出ないなら、総選挙の暁には、彼が代役として国会へ乗り込んでくるに違いない。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31914